石川県七尾市が挑戦しているクラファンについて、辛口な記事が新聞に掲載されていたので、実際どんなプロジェクトなのか見てみました。
▲2019年1月30日 北國新聞の記事「でか山製作寄付集まらず」
記事より引用
七尾市が2020年春開館予定の「お祭り会館(仮称)」に展示する青柏祭の山車「でか山」の製作費に充てるため、インターネット上のふるさと納税サイトで募っている寄付金が、目標の1千万円に対して36万円にとどまっていることが29日までに分かった。市は「祭りに関心を持ってもらうことが第一で金額は二の次」とするが、市民からは「寄付を募る趣旨が分かりにくく、手法が安易すぎる」「返礼品がなく、魅力に乏しい」などの手厳しい意見も聞かれる。
▲でか山製作プロジェクトのページ(2019年1月31日現在)
クラファンページはこちら→ユネスコ無形文化遺産「でか山」を制作し、2020年開館の「和倉温泉お祭り会館」に常設したい
クラファンページを読んでみたのですが、北國新聞でも触れられているように読み手が「寄付を募る理由も分かりにくい」と感じてしまうのも頷けるなと思いました。
本文を読んでみていただけたら、七尾市のことやでか山のこと、でか山を製作して会館に飾りたいという内容は分かりますが、
・なぜそれをクラファンで一般の方々から募るのか→読み手からすると「七尾市が支援してほしいのはなぜなのか?」
・なぜ一般の方々が支援することに意味があるのか→読み手からすると「私が支援するのはなぜなのか?」
に答えられるような内容が入っていないので、リターンが名前掲載といったほぼ寄付に近い内容であることとも相まって、
寄付を募る理由が分かりにくい
と感じるのだと思います。
なぜクラファンをするのか、支援を集めるのかの理由が、財政難とか、予算から出せるだけのお金がないとか、クラファンを活用した助成金を狙っているとか、書きにくいこともあるかもしれませんが、当たり障りのない内容だけでは不明確で支援を募ることは難しいです。
しかも、このようにメディアに取り上げられてしまっては、同情で支援が集まるというのも厳しいでしょうし、どちらかと言えば「イケてない」と七尾市やでか山のイメージダウンにもなってしまいます。
「祭りに関心を持ってもらうことが第一で」といくら言っても、結果が可視化されやすいクラファンを通しては結果がイメージの全てになりやすく、このままではネガティブなイメージを持つ方が多くなってしまうでしょう。
リターンに関しては、ふるさと納税もそうですが、支援金額に対して3割以下というしばりがあるので、自治体が一般の方々からお金を集めるという手法のハードルが高くなったのはたしかに仕方がないです。
ただ、この点も普段は見せられない自治体管轄の施設の裏側を見せるとか、プライスレスの価値のリターンを入れることで、魅力的なリターンを作ることはできるはずです。
僕自身はクラファンを使うことで、自治体のような距離が遠く感じる機関でも、共感といった感情ベースに近い距離に感じてもらえるチャンスを作れるツールであると思いますし、成功事例もたくさんあります。
なので全体的に見ると、新聞記事のようにクラファン利用自体が「安易すぎる手法」というよりは、クラファン利用にあたってもっと工夫できることはあるだろうし、まだ45日あるので十分挽回できるだろうと思います。
ちなみに、新聞記事の中で触れられている輪島市のプロジェクトは以下です。
参考に見てみてください。